圧倒的成長

日々の備忘録

湘南乃風の歌詞解析をする Part3 -踊れ~8th-

そういえば湘南乃風のライブってどんな感じなんだろう?と思ってYoutubeで検索してみたけど全然見つからない。権利的な問題だと思うんだけど意外と厳しいんだな。公式チャンネルでもトレイラー的な動画がほぼない。

湘南乃風のライブ、観てみたい気はするんだけど、ライブに来る層がなぁ…Mayhemのライブに来るような層よりも怖いイメージがある。でもここまでアルバムを聴いてきているので、たぶんなんだかんだ楽しめるんだろうな…機会があればアリか…?

さて今回はミニアルバムの踊れと7thアルバム、そして現時点で最新作である8thアルバムについて。

踊れ

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  1. Baddest
  2. Hyper Something feat. INFINITY16, SALU, J-REXXX
  3. PAN DE MIC
  4. Winner
  5. ダンシング マップ
  6. Summer Holidays

2017年リリース。彼らにとって初となるコンセプトアルバム。コンセプトアルバムというと個人的にはQueensrycheのOperation: MindcrimeやW.A.S.P.のThe Crimson Idolなどが思い浮かぶのだが、湘南乃風もコンセプトアルバムを出していたとは。しかし前述した作品とは異なり、耳で聴くドラマのような感じは一切ない。「踊れ」がコンセプトらしいんだけど、どのアルバムもそんな感じじゃない?…違います?

ただこのアルバム、メンバーのソロ曲がない分、グループとしての湘南乃風のエッセンスが分かりやすいので、最近の湘南乃風を知りたい人にとっては手っ取り早く彼らの音楽性を知ることができる良い作品だと思う。

ジャケットもいつもの単色じゃないし、企画アルバムの意味合いが強いのか、フルアルバムでは最近聴けなかった初期っぽい治安の悪さを感じる曲もある!!Hyper Somethingがその典型なんだけど、久々にkillとかmurderなど物騒な単語が出てくる。これだよ湘南乃風は。この曲のMVもみんな楽しそうにレコーディングしてていいな~。ちなみにこのアルバムの曲はすべてYoutubeでMVが観れるので興味のある人はぜひ観てみてください.リンクも貼ったので。かわいい着ぐるみ人形どうしが殴り合うBaddest湘南乃風の結成当時のあるエピソードを再現したSummer Holidaysなど、湘南乃風の世界が楽しめます。

後半は3rd以降のマイルド路線なので、純恋歌以降しか知らないニワカ新規層でも楽しめるようにできている。よくできてるな~。

ミニアルバムなので、曲数は少ないものの、ワードクラウドを作ると以下のようになった。

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なんとお前があまり目立たず、最近のフルアルバムのワードクラウドとはだいぶ異なる結果に。 winnerWinnerから、badbaddest(こういうスラングは厄介なのでやめてほしい)はBaddestからだろう。やっちゃいな ド派手に ド、ド、ド、ド派手にのフレーズがあるPAN DE MICによるものか。ちょっとこれが頻出語として出てしまうのは微妙だけど。

murder殺しなんて出てくるのも治安が悪くて大変よろしい。ミニアルバムでいいから全編治安悪い作品作ってほしいな。

湘南乃風一五一会

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  1. Krazy Krazy
  2. KING OF THE WILD
  3. Winner
  4. ガキの俺へ
  5. Grand Blue
  6. Let Us Stand Up
  7. 大きくなったら
  8. イカ
  9. 乾杯
  10. Antoquino Señorita
  11. Then You Smile
  12. はなび
  13. やめちまぇ!
  14. One Song(Piano Ver.)
  15. 一期一会

2018年リリースの7thアルバム。タイトルは「一期一会」とデビュー15周年記念という2つの意味をかけているらしい。もう相当なベテランだな。 作風は6thアルバムに近い気がする。

Krazy Krazyの後半には1stアルバムの曲名や曲中のフレーズがいくつか登場する。

俺らが Super Entertainer
あまりの速さに針飛び Boom
止まることないスピードで
今も変わらず Krazy
このイカれたビートにまたがる
We are Real Riders
限界知らず だからついてこい
行くぜ Another World

止まることないスピードReal RidersAnother Worldと、急に懐かしいフレーズが出てきて驚く。

恒例の夏ソングはWinnerか?しかしこれは上記のミニアルバム踊れ収録のもの。バージョン違いとかでもなくまったく同じ。手抜きか?

ガキの俺へはその名の通り、彼らが少年時代の自分に対するメッセージが込められた曲である。湘南乃風もこういう曲を作るようになっちゃったのね。

大きくなったらが今作におけるSHOCK-EYEサーガの一幕。

大きくなったら 早く寝なくてもいいの?
大きくなったら 好きなだけのオモチャを
大きくなったら お菓子に囲まれて
そんな夢を見ているの ちいさな君

泣き疲れた君は 今 僕の腕の中
さっきのやり合いが 耳に焼き付いてる
腕組み立つ僕を 潤んだ目で睨む
君が言った「大っ嫌い」が胸を突き刺す

いつも考えているのは君の未来
大好きを取り上げる イジワルに見えるかな?
あの子の為と心を鬼にしてみても
正しいことなのか またわからなくなる

2013年作の2023収録のいつかで誕生が語られ、前作ではヒーローごっこをするようになるまで育ったことが明らかになった彼らの子供。この時点では5歳だろうか。親とぶつかることも増えてきたようで、向き合い方に悩む父親の姿が語られている。

乾杯湘南乃風のパブリックイメージそのままの能天気な曲。ノリとしては前作のバブルに近い雰囲気。

やめちまぇ!は、辛いことがあったらやめればいい、という内容かと思いきや…

やめちまぇ! そんなに辛いなら
やめちまぇ! 言い訳聞きたくねぇ
やめちまぇ! そうやって逃げればいい
やめちまぇ! 誰かのせいにしてろ
いっそ生きることさえも
やめちまぇ! やめちまぇ!

やりたくねぇと逃げてばっかりじゃ駄目
今を変えたいなら自分を変えるんだ

結局は続けてみろという内容で拍子抜け。中学校とかにこういうスタイルの説教する人いたな…

One Song(Piano Ver.)HAN-KUNのソロライブDVDに収録されていた曲のピアノバージョンらしい。手抜きか? このアルバム、メンバーのソロ曲の方向性がけっこうバラバラで、そのせいでアルバム全体の印象が散漫なものになっている気がする。

しかしラスト曲一期一会は最後の最後で泣かせます。曲の途中、どこかで聞いたことのある咆哮「そ~~ろそ~~ろかぁ~~~」が聞こえたかと思うと…

そろそろか

止まることなく ずっと走ってるか?
ドでかい夢を持ち信じた
痛み知って繋がる絆
一期一会

止まることなく ずっと走ってるか?
ドでかい夢を持ち信じた
命果てるまでずっとだ
聞きな WICKED & WILD

ここで彼らの1stの2曲目(1曲目はイントロなので実質的には1曲目)のWild Speedを思い出してみよう。

そろそろか

止まることないスピードで荒らしに来た
どでかいスピーカー鳴らし Singing Now
南ビーチ東西北
聞きな Wicked and wild

止まることないスピードで荒らしに来た
どでかいスピーカー鳴らし Singing Now
南ビーチ東西北
聞きな Wicked and wild

おわかりいただけただろうか。リプライズになっているのである。しかもご丁寧にメロディーまで同じ。

これに気づいたとき、湘南乃風リスナー歴一か月の俺でも感動した(こういうの弱いんですよ)ので、デビュー当時からの湘南乃風ファンだったらここで号泣必至だろうな…。

このアルバムは個人的には微妙だけどラスト曲で帳消し。 そんな7thアルバムのワードクラウドは以下のようになった。

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特に目立つ単語は乾杯…そう、なんとお前が見当たらない!!(実際にはあります!探してみよう!)3rdアルバムではあれほど存在感を放っていたお前が、ついにに負けたのだ!!これは大きな変化ではなかろうか。もちろん誰に対して使うかでも意味合いは変わるが、今作に関しては女性をお前と呼ぶシチュエーションは減っているような印象を受ける(気になる人は歌詞を調べてみてください)。

君は31回使われていて、そのうち12回は上記の大きくなったらなので、自分の子供に対する呼びかけだろう。しかしそれを除いても19回子供以外に対しが使われており、お前がアルバム全体の中で9回しか出てこないことを考えると、だいぶ他者に対してマイルドになってきたのではないか。

ところでアイカラの一節。

超せっかちで男勝りな君だけど
意外と家庭的
ケンカじゃ絶対引かない君だけど
動物系のテレビでだいたい泣いちゃうね

純恋歌では以下のような一節があった。

大親友の彼女の連れ おいしいパスタ作ったお前
家庭的な女がタイプの俺 一目惚れ

家庭的なタイプにこだわりがあるようだ。

湘南乃風~四方戦風~

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  1. 不死鳥
  2. 四方戦風
  3. GOLD
  4. 全員集合
  5. Summers
  6. ただいま!
  7. アイロン~がんばる君へ~
  8. 未来図
  9. 母に贈るうた
  10. 自由自在
  11. アリとキリギリス
  12. Power of the equality
  13. Still Real Riders
  14. 一番歌

2020年リリース(!)の最新作。前作発表後、アリーナツアーをもって彼らは活動休止期間に入っていたらしい。そんな彼らが再集結に至るまでの詳しい話はインタビュー記事にも出ているので読んでみてほしい(なかなか読みごたえがある)。当初はこのアルバムリリース後にツアーをする予定だったらしいが、コロナの影響もあってツアーは延期。アルバムの売り上げにも響いたのでは。夏が彼らのメインシーズンだけに、本人たちも悔しかっただろうな。ツアーは結局来年に行われるとのこと……あれ!?もしかして行けるんじゃね!?

活動休止期間があったので、音楽的にどうなったか気になるところだが、普通にいつもの湘南乃風ですね。前作とほぼ変わらず。ただ、さらにマイルドになっている気がする。

四方戦風はメタルか?と思うレベルのヘヴィなリフによるイントロから始まる。普通にカッコいいんだけど、歌が入ると普通に湘南乃風になる。湘南乃風のボーカル陣ってヘヴィなサウンドにも負けないと思うので、一度もっとメタルっぽい曲を作ってくれないかな。

現時点で最新のSHOCK-EYEサーガと思われる曲はアイロン~がんばる君へ~ 今作ではどうなったのだろうか。

いつもどおりでいい いつもどおりがいい
頑張りすぎる君に 笑顔の差し入れするみたいに
いつもどおりでいい いつもどおりがいい
クシャクシャな気持ちなら アイロン当てるみたいにさ

ついに訪れた決戦の朝に 君よりなぜか落ち着かない私
思い出すのは それは長い長い戦いの日々 そのゴールが今まさに

子供の年齢は…7歳くらいか?となると…これは……小学校受験か!?そんなことさせたのか!?

と、思ったのだけど、この曲、受験生応援ソングとして作られたものらしい。 しかしこれは本当にそれだけなんだろうか?湘南乃風は、かつて4thアルバムの暖歌で、下記のように歌っている(ただこのパートを担当しているのは若旦那である)。

子供はワールドワイドに備えて
隣町にあるアメスクへ

こいつら、自分の子供をアメリカンスクール(というよりインターナショナルスクールか?)に通わせようとしている節があったのである。確かにそれだと小学校から受験するケースもあるので、これは実は全国の受験生への応援歌という体で自らの子供へ送った曲、すなわちやはりSHOCK-EYEサーガの一つなのではないかと勘ぐってしまう。真相が次作以降で語られることを祈るしかない。

母に贈るうたはその名の通り母親への感謝ソング。要は若い頃はヤンチャしてて迷惑かけたけどごめん!自分も家庭を持って気持ちがわかったよ!今までありがとう!的な歌。なんか彼らが歌うと妙にリアルだ。1stから聴いているとまるでヤンキーの人生を見せつけられているようだ。前作のガキの俺へといい、家族ソングが増えてきたな…そのうち孫よみたいな曲も作りそう。いや、出るな。賭けてもいい。

自由自在RED RICEのソロ曲だが、とても良い曲で驚いた。1stとか2ndであれだけ治安の悪い曲を作っていたRED RICEがこんな優しい感じの曲作れるのか……素直に感心した。

アリとキリギリスは同名の寓話をテーマにしたもの。とは言っても彼らの口からいくら楽しい日々をと言ったって 必ず来る老後が心配でなんて一節が出てくると驚かざるを得ない。これも彼らの変遷を感じさせる1曲だ。

終盤のStill Real Ridersはその曲名が否応なしに彼らの1stアルバムを思い起こさせる。ここでこういう曲を入れてくるのもニクいな。

さてそんな最新作のワードクラウドだが、以下のようになった。

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なんとすら存在感がほとんどない…!これは本当に湘南乃風のアルバムなのか?

こんなデータ出されたらなんらかの研究不正を疑うレベルである。もしくはバグ。しかし、実際に各単語の出現回数(+過去作での出現回数)を計測すると、

  • : 9回(←43←62←54←64←60←47←7)
  • お前: 8回(←9←30←52←33←46←24←15)
  • : 23回(←31←22←24←13←15←13←2)

となっており、実際に減っている。ただし、1stアルバムでは実はお前もそこまで多用されていたわけではないので、これは先祖返りか? 今作の制作までに2年間の活動休止期間があったことをふまえると、今作は一度湘南乃風をリセットした上で作られたと考えられるので、素の湘南乃風はこういうものだったのかもしれない……とも思ったけど、考えすぎな気がしてきた。まぁ彼らもみんな40代だし、考え方も変わってきたんでしょう。

とはいえ、湘南乃風には、もっとこう…オレ!!オマエ!!イッショ!みたいな感じを求めてしまうんだよな…。やはり彼らのイメージはどうしてもそういう感じなので。

もちろん全作聴いてみた今、そういったイメージが湘南乃風の実像としては正しくないということはわかっているのだけど、湘南乃風って純恋歌のイメージが強すぎて、かつ湘南*1といういかにも陽キャの聖地みたいな場所のイメージも紐づいてしまっていて、皮肉なことにすべて絶妙にマッチしている。その作られたパブリックイメージに本人たちも縛られすぎている気がしないでもない。まぁ、本人たちもあえてそのイメージを使っているのかもしれないけど。

しかし次回作はどうなるんだろうか。すごい気になる。これは買うしかないな。

*1:彼らの歌う湘南もほぼファンタジーみたいなものだと思っている。で国境付近でWANIMAらの集団と小規模な戦闘を繰り返してそう。